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ぐだぐだ日記@そも162

げんそーいりとかげんそーいりとかげんそーいりとかとうほうのはなし。
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未完成物体
未完成ですが、今までとりあえず作ってあった分。
更新するかもわかりません。
中途半端に切れるのもいかなるものかと思うので、一段落ついたところまで。
 
注釈その他混じっています。そのあたりご注意を。
あと長いです。とんでもなく長いです。
じっくり読みたい方は時間に余裕がある事を前提に。
 
-10-

その翌日、自分の部屋にて。
「はいどうぞ」
藍が紙の束、申込書を手渡す。
それらを見ているうちに、聞き慣れない名称の場所から配達依頼があった。
『霧雨魔法店』
いつだったか、噂に聞いた事があった気がしなくもない。
内容を確認する。
「強くなれそうなキノコとか強いキノコ
 ご利益のありそうな雨漏り対策になるもの」
何故か、とある配管工を想像した。
「あとこれをどうぞ。爆発物かも知れないキノコです」
見た目だけはいたって普通の乾燥したキノコを渡される。
しなしな具合は、店で売っている乾燥しいたけくらいだ。
物騒な物を手渡ししないで欲しいと思う。
「吹き飛んだ時には……えっと……ど、どりふ?手当てが出るらしいです」
出オチする気配しかしない。
「あとは……ちょっと待っててください」
藍が廊下へ出て行く。数十秒後戻ってくる。
じゃーん、とでも言いたそうな笑み。
その両腕に抱えてるのは大きな――金タライ。
微妙に中央が凹んでいる部分を見ると、以前頭にぶつけられた物だろう。
完全に出オチしろと言われている気しかしない。
「これで雨漏りをするといいかも知れないそうです」
適当である。クレームが来そうな気がしてならない。
と言うよりもこの金タライ、全然ご利益がなさそうだ。
「雨漏りなら、屋根直した方が早い気が……」
「雨が降っている時に修理するのはおすすめできませんよ」
何かを知っている、そんな風に藍が言う。
「では、がんばってください」
親指をビシッと立てる。流れがよくわからない。
「とりあえずさっさと行けばいいんです。
 さっさと行ってさっさと自爆しなけりゃいけないんです」
明確な悪意、もとい悪ノリである。
「わかりました、ちょっと自爆してきます」
こちらもまた悪ノリである。

-11-

現在、人里。
「……とは言ったものの」
仕事、手詰まり。
理由、霧雨魔法店の場所が不明。
「というわけで、今日もいつもの頼みます」
追記、現在位置は団子屋。

……副社長休憩中……

「おちゃおいしいです」
団子を頬張る→お茶を啜る→繰り返し。
勘定を済まして、さて出発し――

ガシッ

頭が何かに引っかかる。
むしろこれは掴まれている。
そして後ろからは妙に優しげな声。
「さて問題です、これは誰の腕でしょうか?」
間違いなく社長。妙に優しげな声→怒りを押さえ込んでいる。
ギリギリと紫の指に力が入る。
「いぎぎぎぎ社長様止めて下さいお願いします」
いきなりアイアンクローはやめてほしい。
しかしとんでもない力だ。
「さて問題です、それ以前に何か言う事はないでしょうか?」
「すすすすいませんでしたお尻大きいですねとか思ってたのを許」

グサッ

「ぴgyaaaaaaaaaaa」
あまりの痛さに悲鳴を上げる。
爪を立てられる→持ち上げられるのコンボ。
「さて質問です、私は今何kgの肉塊を作ろうとしているでしょうか?」
「仕事サボっててすいませんでしたあーっ」
下ろされる――と思いきや、自分の体が地面に埋まっていく。
いや、これはスキマに入れられている。
「あの、これはどちらま……uuuuuuumyuuuuuuuuuuuuuuuuu」
爪をさらに立てられる。金タライをぶつけられた時とは違う鋭い痛み。
これから、本格的なお仕置き部屋へ行きましょうとかは簡便してほしい。
「行けばわかるわ。
 さっさと行けばいいのよ、さっさと行けば」
いつもの冷めた声。紫が手を離す→スキマに落下。
「わあああああっ」
そんな断末魔の叫びを残して。

……そして着地。

べちゃっ

水を吸った腐葉土→足が沈む→ふらつく→なんとかバランスを保つ。
爪を立てられた部分を確認→血が出ていたり、出ていなかったり。
周囲の光景→一面の木、木、木→森。
ちょっと進んだ先に、建物の屋根のような何かが見える。
人里より湿度はやや高め。気温は低め。
天候は、恐らく晴れ――木漏れ日が差している。
と思えば、木漏れ日が消え弱い雨が降り始める。
空を見上げる→なんだか嫌な感じのする赤い雲。
……あまり濡れたくはないが、木があるおかげで大して濡れないので、転ばないよう慎重に歩いて小屋へ向かう事にした。

-12-

「……ん?」
今あの屋根のようなものの前を赤い何かが通っていった気がした。
気のせいではない。何かが動いている。
人なのか妖怪なのかもわからないので、更に慎重に進んで行く。
もしかしたら人が襲われていたりするかも知れない。
声が聞こえる。

二枚目はこれだッ
天儀「オーレリーズユニバース」

「オーレリーズユニバース」。
仰々しい名前――おそらくスペルカード戦中だろう。
襲う/襲われる、ではなく合意の上で戦っている事に安心した。
様子を伺ってみると、二人の少女が宙を舞っていた。
片方は以前見かけた巫女――博麗 霊夢。
もう片方は……以前、友人を道ごと吹き飛ばした名を知らぬ少女。
黒白をベースとした衣装、とんがり帽子、やや古びた箒にまたがって。
『マスタースパークだぁッ――!』
嫌な記憶が蘇り身震いする。
黒白の周りをくるくると回る4つの珠→彼女を中心としてレーザーを発射。
木に当たる→木を削る→焦がす。
地面に当たる→急激な温度上昇→水蒸気。
霧雨→悪天候→加えて水蒸気→視界不良。
気づけば顔の横には既にレーザーが。
彼女には自分がいる事に気づいていない→無意識のうちの攻撃。
「ぬわーーーーっ」
緊急回避→ズザーっと転ぶ→水をたっぷり含んだ腐葉土→ずぶ濡れ。
今まで慎重に歩いた苦労が水の泡である。

そのレーザー、どうせパチュリーから盗んだのでしょ!
盗んだんじゃない、借りただけだ。死ぬまでな
盗んだも一緒じゃない、じゃあこっちもいくわね
霊符「夢想妙珠」
相変わらず追尾なんて卑怯――うわああああ!!

よく見えないが、ドスンと何かが落ちる音。
カランと自分の肩に何かがぶつかる→黒白の持っていた箒が飛んできた。
向こう側はそこまで湿っていないらしい。
霧が晴れる→またも快晴に。
その先には、倒れた黒白とその場で直立している巫女。
例の巫女のほうが勝ったようだ。
ほんのちょっとづつ近づいていって。

「まだ何も起きていない――」
「――ころころ天気が変わる――」
「こんなに暑くならない――」
「……異変の予兆とか言って――」

ここでも、天気の変化が話題に上がっている。
やはり何かの異変ではないだろうか。
と言っている間に、巫女が空へ飛んでいった。
残された黒白→汚れを払う→意外と泥が取れない→諦めて家に入ろうとする→何かに気づく→探す。
何を探しているんだろう……ふと気づいた。
自分の手には例の箒。これは彼女のものである。
とりあえず渡しておく事にしよう。

茂みを越して小屋の前まで歩く。
彼女は足音に気づいて振り返る――驚いた顔。
「お前……何だ?雨男か何かか?」
ひどい言われようである。何故そうなるのだろうか。
「何で初対面の会話がそれですか……」
「いや、お前は自分の姿を一回見るといい」
上から下までジーッと見回される。
自分の服を見る。
いかにして形容しようか。
つまりは、しっとりとした腐葉土をちりばめた着物を着ているのである。
「……なるほど」
自分が納得しているうちに、疑いの視線が突き刺さる。
「この雨はお前がここにいるせいだな。
 さっさとどっかに行ってくれると嬉しいんだが」
気づけば誤解されている、そんなパターンが多いのは気のせいではないだろう。
「ちょっと待って下さい、これはいいんですか」
手に持った箒を上に掲げる。
「私から物を気づかれずに盗むとは、中々やるじゃないか」
ちょっと見直したように腕を組んで言う。決してそういう問題ではない。
そして彼女は服の中から――八角形の何かを取り出す。
「だが私はそれをみすみすと見逃すようなヤワな人間じゃないんだ。
 盗……おっと、借りるのは好きだが盗まれるのは嫌いだぜ。
 さあ、そいつをこっちによこしてもらおうか、どこぞの雨男さんよ」
持ち去ると思い込まれているようだ。これもまた誤解である。
「あと十秒以内にイエスかノーかで答えてくれ。
 ノーの場合はもちろん、こいつが火を噴くが」
明らかに威嚇――小さい炎のような何かが吹き出る。
彼女は本気だ。視線が、姿勢が、気配がそう告げている。
「わかりました、これは返します」
すると彼女は呆れたように。
「なんだ、つまらないな……
 そのまま持ち去ってやるぜとか言って、逃げてくれた方が鬱憤晴らしにも丁度よかったんだが」
先ほどの件で鬱憤がたまったのだろうか。
そして箒を手渡す。またまじまじと服装を見つめられる。
「あー、やっぱり雨男っぽいぜ」
納得したように彼女が言う。
「雨をさっさと止ませるんだ。さもないとこいつが火を噴くぜ」
また八角形の何かを、今度は至近距離で突きつけてくる。
とりあえず誤解はされたくない。
「雨男じゃないです」
「嘘だな」
「雨男じゃないんです」
「嘘だ」
「本当です」
「証拠がない」
「じゃあ自分が雨男って証拠は」
「この雨がずっと降っているからな
 そしてお前のその格好が怪しい」
……何と言う理不尽さ。
「ここに来たのは初めてなんですが」
「それも嘘だな、実はずっといたんだろ?」



※ゲーム画像とか作れたらいいなーとか思ってるけど多分無理。

あめおとこ は しらばっくれた!
*「あめおとこ じゃ ないんです」 ▼
ニア 嘘だぜ
  嘘だな
  嘘だ
  考え直してもいい

……

あめおとこ は しらばっくれた!
*「あめおとこ じゃ ないんです」 ▼
ニア 嘘だな
  嘘だ
  考え直してもいい

……

あめおとこ は しらばっくれた!
*「あめおとこ じゃ ないんです」 ▼
ニア 嘘だ
  考え直してもいい

……

あめおとこ は しらばっくれた!
*「あめおとこ じゃ ないんです」 ▼
ニア 考え直してもいい

……

「あー、もう面倒になった。
 じゃあお前は何しに来たんだ?」
ようやく話が進展した。無限ループは現実には存在しなかったようです。
違う→嘘だ→違う→嘘だには、もうこりごりである。
もちろん、霧雨の中でなので双方びしょ濡れである。更に泥まみれで。
実に滑稽な光景である。
「霧雨魔法店にお届け物です」
恐らく――ここが霧雨魔法店だろう。
名前の通り霧雨がずっと降り続けているのかはどうかは不明だ。
「雨男のお届けならいらないぜ、どうせ雨だろ?」
そこは未だに譲ってくれないらしい。
「だから雨男じゃないですって……」
そうして彼女は考え込み、何かに気づいた。
「ああ、そういうことか。じゃあさっさと家に入ってくれ。」
まだ話の途中なのだが……雨漏りは恐らく現在進行形なのだろう。
「おーい、早く入れよ」
「あ、はい」
中へ入り、扉を閉める。

-13-

霧雨魔法店、内装――片付けていない実験器具、散らばった紙、乱雑に積まれた本。
一言で表すと、家サイズのゴミ箱が近いかも知れない。
下に置いてある物を踏んで濡れるのすらためらわない彼女→非常に大雑把。
「適当に拭いたりなんなりしてから呼んでくれ」
彼女から汚れたタオルのような何かを渡される→雑巾のような何か。
そして彼女はこちらを気にもせず奥へ進んでいった。
……どうせ服も汚れているので、遠慮なく使う事にした。


……

髪と服から水が滴らない程度に拭き、尋ねる。
「ある程度までは拭きましたー」
奥に聞こえるようにやや大きめの声で言う。
「じゃあ、こっちに来てくれ」
言われたとおりに奥へ進む。

奥に到達して、一言。
「……これは」
天井から滴る水→外は雨→雨漏り。
「見てわからないか、雨漏りだぜ」
「それはまあ、わかりますが」
「それで、お前の出番だ……そういえば、名前を知らなかったな。
 アメオか?アマオか?」
……もう突っ込まない事にしておこう。
「自分はこのような――」
懐に手を突っ込む→水で濡れている→名刺も。
まあ、いいだろう。
「失礼しました、自分の名前は某田正二と申します、よろしくお願いします」
「アメダアメジの方だったか、そりゃ予想外だ」
何も聞いていない。
「それでアメダ、こいつをなんとかしてくれ」
水の滴る天井を指差す。
「その前に、あなたのお名前は霧雨魔理沙さんで合っていますか?」
申込書に書いてあった名前を思い出す。
「ああ、そうだ。呼び名は何でもいい」
「では雨女さんで――」
「よし、消し飛ぶ準備はいいか?」
一瞬で突きつけられる八角形。
「……冗談です。本当に申し訳ありませんでした」
「わかればいいんだ、でも次はないぜ」
次は問答無用で消し飛ばされるだろう。
「話を戻して、こいつだこいつ」
地面に出来た微妙な水溜まり。
「ご利益のありそうなナニを頼んだぜ」
「あ、少しお待ちください」
魔理沙の見えない所から、スキマを開きタライを取り出す。全然ご利益がなさそうなタライだ。
そしてそれを、水溜まりの上に置く。
「一体どこから……っと、こいつは」
彼女の様子を伺う――驚きの表情。
「まさか……ひひいろかね……?」
ひひいろかね――何だろう。
「何ですか、それ」
八角形の何かを取り出して、金タライとそれを見比べる。
「この色は間違いない、ひひいろかねだ」
「何ですか、それ」
初めて聞く名前だ。
「いいか、これは決して錆びない貴重な金属なんだって霖之……ある奴が言ってた」
人づてなのがやや不安だが、もしそうだとすれば屋根が直るまで雨漏りをしのぐには最適だろう。
彼女はそれに憧れるように見入る。
「いい買い物をしたぜ、ちょっと凹んでいるのが気になるが」
凹んでいるのは仕方が無い。
……そうだ、これは売買なのだ。
「お代の方は――」
「今は金がないからまた今度にしてくれ」
借金をしている人物の常套句である。
だが、ここからは自分の管轄外である。
ツケにしてくれないか、などは人里でもあった話だ。
「では、次回のご利用の際に」
「お金が払えないのなら使わせないでおいて」という紫の伝言をアテにする。
「はいはい、わかったわかった」
はい、わかったの両方がニ回用いられている。完全に甘い奴だとか思われていそうだ。
どちらにせよ、強くものを言うのは苦手なタイプなので間違ってはいない。
「……あと、もう一つ頼んだのがあったよな」
『強くなれそうなキノコ』あるいは『強いキノコ』と、魔理沙は言っていた。
『爆発しそうなキノコ』と、藍は言っていた。
どちらを信じるべきだろうか。
とりあえず害は無さそうなので、そのまま渡して逃げよう。
「こちらです」
スキマから何の変哲もないキノコを取り出す。
それと一緒に一枚の紙が落ちてくる。
キノコの方を手渡す。
「なんだこれ、全然強くなれなさそうだぜ」
紙の内容を確認する。
「水に一緒にビンにつめてからお投げください★
 くれぐれも、水に入れたら出さないで下さいね★」
水に反応して爆発するとかだろうか。
何が強いのか、本当に意味がわからない。
試供品もないので、威力も不明。こんなモノを誰に向かって投げるのだろうか。
むしろ、空気中に存在するだけで水分と反応して既に強くなってそうだ。
「で、そっちには何て書いてあるんだ?」
見せたら絶対実験するだろう。
「死んでもいいんですか?」
キノコを使う→電車の中の危険物に手を出す――そんな感じ。
「こんなキノコで死ぬほどヤワじゃないぜ。
 水につけて食べればいいのか?」
キノコを持ち上げて口を開ける魔理沙。それを手で止める。
「食べ物じゃないと思います」
口を閉じる。
「何だ、先に言ってくれよ」
「説明する前に食べようとしたのは――」
と言っている間に、紙を取られる。
「あ」
熟読される。
「ほう、そうなのか」
妙に納得される。キノコを置いてどこかへ歩いていく――戻ってくる。
その手には恐らく水の入っているだろうやや大きめの桶。
……やる気だ。
「さて、実験といこうじゃないか。
 水に入れておけば強くなるんだろ?」
「ちょっと待――」
彼女が部屋の隅の机の上に桶を置く。
その横においてあるキノコを手に取る――桶に近づける。
自分が移動する時間<彼女が桶にキノコを入れるまでの時間。
間に合わない。
キノコを桶、もとい水の中に――突っ込む。
どうしようもない→逃げられない。
魔理沙の足元に何かが→唖然とする魔理沙→そのまま床へ埋もれていく→何も掴めず消滅。
何が起きたのだろうか。
よくわからないが彼女は助かりそうだ。
……あれ?
自分の事をすっかり忘れていた。
「やばい、これは――」

(どーんとかいう効果音)

その時、自分は星になりました。

-14-

気がつく。体中が痛い。
何があったのだろう。
部屋を確認する――果たしてそれは部屋なのか。
それともやや大きめのゴミステーションだろうか。
倒れた本棚、床に落ちている紙、本、実験器具、壁に開いている大きな穴。
もとは桶だった、木片のような何か。
キノコと水の反応→爆発。
一体どれくらいの爆発があったのだろうか、相当な被害である。
「まさか、ここまでとはねえ」
頭上から声。
「……ゆかりしゃちょーじゃないですか」
上を見ると、相変わらず重力を無視した姿勢の紫がいた。
「無茶させてくれるわね」
元凶は社長のせいです――と言おうと思ったがやめた。
「はあ」
「というわけで、お返ししまーす、あとはよろしく」
笑顔のまま紫がまた消える→とある配管工のように床から出てくる魔理沙。
「……あれ?私は一体どこにいたんだ……?」
突然の出来事で何もかもがわからなかったようだ。
深く考え込むようにして彼女は言う。
「……夢……じゃないよな、この状況は」
室内の様子を見て現実であると確信した。
「さて、説明してもらおうか」
微妙にこもった怒りを口調から読み取る。
「キノコが爆発しました」
「なるほど」
あ、今回は納得してくれるんだ。
「そんな危険物を、持ち込んだわけだな?」
彼女の手には八角形の何か。
「ちょっ……自分は無実です」
「問答無用だっ――」
八卦炉から恐らくフルパワーで火が噴き出す→爆風に似た何かに流される。
気づけば外に放り出される→雨は降っていない→今にも雨が降りそう。
周囲の木々→なぎ倒される。
壁の損壊具合→更に悪化。
「お、雨が止んでるな」
自分の身など気にも留めない。
「雨男じゃなかったのは本当だったんだな」
今更ながら納得されるが、今度は別の恐怖が。
魔理沙がこちらへ歩いて来て、立ち止まる。
腕を組んで仁王立ち→一目で分かる作り笑顔→憤り。
「と、いうわけで壁くらいは直してくれるよな?」
「はい、喜んで」
そうして、全身が痛い中、一日かけて彼女の家の壁を直す事になったのである。

……副社長修理中……

それから、結構な時間が経って。
「こんなもんでどうでしょう」
不恰好な壁→不自然ですがなんとか直しました。
「まあこんなんでいいか」
木材が近くにあって助かった。環境破壊になっているのは仕方が無い。
「じゃあお疲れ。帰っていいぜ」
お茶の一杯くらい――などと思ったがあつかましいのでやめておく。
考えるうちに彼女は家に戻っていった。
「あ、はい、お疲れ様です」
聞こえていないだろうが返事をしておく。
さすがに体中が痛く、今回こそ疲れたので早く帰って寝ようと思う。

---※参考:緋想天プロローグストーリー(体験版)---
あら、久しぶりに雨が降ってきたわね
ほら、まただ
こんな天気ばっかだから気温が上がらないんだ
この雨、何か不自然だと思わないか?
冷夏って言いたいの?
あいにく、私も暇じゃないんでね
そんなありきたりな変化は放っておく事にしたの
そうか……じゃ、私が調査に出るか
でも、抜け駆けは許さないわ!
星符「ポラリスユニーク」
天儀「オーレリーズユニバース」
決着→快晴
まだ何も起きてないんだから
あんたは大人しくしてなさい
うーむ、今日はころころ天気が変わるな
こんなに暑くならないんじゃ
秋の食べ物が心配だぜ
……異変の予兆だとか言って、
暇だっただけっぽいわね
----------

そして副社長が帰ってから。
「今見直すとひどいな、こりゃ」
散らかった部屋を見る。
悲惨である。まるで地震があったかのような。
「地震なんて、起きて欲しくないぜ」
そうそう起こる事はない――と思いながら言う。
「面倒だし、そのままでいいか……
 死ぬまでには片付けるぜ」
死ぬまで→彼女にとって気休め程度の誤魔化し→やる気はさらさらない。
彼女はふと思う。
「……あのキノコ、結局どうなったんだ?
 結局爆発してなくなったのか?」
考えればすぐ分かる事である。
「あれは不良品だったに違いない。
 図書館にあった本で読んだクーリングなんたらが適応されるはずだ」
幻想郷には未だない制度だろうが関係がない→理屈をごねる。
図書館の本で無駄な知識を詰め込んでいる彼女→このタイプの言い訳が通用した相手→無し。
そして彼女は、考えるのをやめた。
「めんどくさい、よし寝よう」
そして彼女は、ベッドまで木片、本、紙を踏みつけたりそうでなかったりしつつ歩いていくのだった。

-15-

帰ってきたわけである。
帰ってきたわけなのである。
この幻想郷を、両の足のみで、廻りに廻って帰ってきたのだ――!
などと、頭の中でくだらない事を考えつつ玄関へ。
「ただいま戻りました」
玄関から声をかけると、藍が出てくる。
「お帰りなさ――」
自分の一目見るや呆然とする。
「?」
何があったと言うのだろうか。
「とりあえず、自分の体を見てくださいね。
 ……お風呂へどうぞ、おゆはんの準備してきます」
藍はトタトタと廊下を小走りに進んで行く。
自分の体→着ていた服が乾燥した泥にまみれて→木屑にもまみれ→凄惨。
「あー……」
仮にも副社長なのだから身だしなみはきちんとしなくてはならないと思う。
「風呂だ……
 風呂へ行こう……」
なるべく床が汚れないように気をつけつつ風呂まで歩いて行った。

……副社長入浴中……

そして、夕飯。
今晩の夕食のワカメご飯を口に含みながら。
「……そういえば、吹き飛んだわよね」
紫の一言→恐らくキノコの事。
「ええ、死ぬかと思いました
 ……あと食べながら話すのはやめてください」
本当に社長であるという自覚はあるんですか――そんな言葉を呑み込んだ。
「細かいわねえ」
反省する気は全くなし。
「手当てとして、これを渡しておくわね」
スキマから出てくる小さな板のような何か→名刺より大きめの――4枚のカード。
------↑何枚使うんだろう 戦闘に応じて←完成させないと無理、か
恐らく前言っていたドリフ手当て。それらを手渡される。
絵柄→火山の噴火したようにも見える赤いキノコ雲のようなもの。
「……これは一体」
まあまあ、とでも言いたげに紫が言う。
「いざとなったら、使いなさい」
よくわからないが、恐らく使う事があるのだろう。
「特注品だからね、無くさないように。
 あと使ってもなくなるから気をつけてね。
 使い方はテキトーに掲げればなんとかなるわ多分」
ようするに使えるのは4回までという事らしい。
多分、という言葉に不安を覚える。
とりあえずもらえる物はもらっておこう。重要なアイテムだ。
お礼を言っておかないと何か言われそうなので。
「ありがとうございます」
すると、
「あら、礼なんていいのに」
紫はひらひらと手を振る。
礼を言わない→礼を言えと言う。
礼を言う→礼はいらない。
完全に矛盾しているあたりに紫の横着さを感じる。
「というわけでごちそうさま」
気づけば紫が夕食を終える。
「お粗末さまでした」
紫によって散らかされた皿を藍が慣れた手付きで片付ける。
変わらない日常。
だが少しづつ、何かが変わっている気がする。
白玉楼、積もりに積もった雪。
霧雨邸、霧雨と快晴。
ここ――八雲邸、天気雨。
そして夕食時にしか姿を見せない紫……はいつも通りだろうか。
何だか慌しくなりそうな気がする。

-16-

キノコが爆発して、翌日。
場所→幻想郷の上空。
空を飛ぶには酷すぎる天候→風雨。
「ぐえー、ひーまーでーすーねー
 毎日こんな天気じゃ見るものも見れません」
風雨の鴉――射命丸 文が飛んでいた。
ぐるんぐるんと360°を旋回しながら幻想郷を見渡す。
超高速で空を飛ぶ事が出来る彼女こその技だろう。
そして彼女は何かに気づいて呟く。
「……いけない。
 風雨の事で頭が一杯で、本来のするべき事を忘れていました」
彼女は旋回するのをやめる。
「見るものを見るんじゃないです、自分から探しに行くんです」
己の仕事を再確認し、彼女は飛んでいった。

人里にて副社長。
おおかたの配達作業を終え、さっさと荷車を片付けようとする。
空を見上げる→雲一つ無い青い空。
「本日も快晴でし――お?」
太陽が見えなくなる→いきなり曇り。
などと思っているうちに強い風と雨。
「何でこう、言おうとした途端に天候が変わるんですか」
最近の天候に対して理不尽さを感じる。
そして上空→また赤みのかかった雲。
また嫌な感じの雲か――すると。
「毎度お馴染み射命丸です
 今日は謎の組織の悪行を観察してみたいと思います」
風雨の中、空から下りてくる少女。
白い上着、この風雨だと長さがやや危なめな白いフリルのついた黒スカート、
物理の法則を無視しているかのような、頭に乗せているだけに見える赤い帽子。
「えっと……どちらさんでしたっけ」
「それよりも、この天気で立ち話もどうかと思うので、どこか入りませんか」
ザーっと強い風雨なので、ごもっともだ。
「はぁ、わかりました」
と言って、いつもの団子屋の中に入って行った。

-17-

タオルで服と髪をごしごししながら彼女が言う。
「申し遅れました、私は射命丸 文と言います。
 文々。新聞を書いています」
ああ、ポストの事を取り上げたあの新聞の筆者か――と納得。
「なるほど」
「というわけで、いきなりですが独占取材に入らせていただきますね」
首をちょっぴり傾けて笑顔→営業スマイル。
「いきなりすぎますね」
「断った場合は……書くことが無いのであることないこと書き綴りますね、悪の組織っぽく」
悪質である。これがキャッチセールスというものなのだろうか。
……それと、悪の組織はやめて欲しい。
「どちらにせよ拒否権は無いって事ですか」
「はい」
先ほどと同じ笑顔。彼女は手帳のようなものを出し、筆を握った。
「むむ」
筆の先を見る→ささくれ。
「風雨のせいですかね」
「どうかしました?」
「いえ、何でもないです」
筆をしまいこみ、今度はペンを握る。
そして彼女はペンを見ながら言う。
「便利な世の中になりました」
確かに筆で書くよりは書きやすい気がする。
「それではいきますね――」

……少女誘導尋問中……

それから十数分後。
「それでこの伝説のモケーレ・ムベンベがどこにいるか知りたいんですよ」
完全に話がズレて、ただの会話になっていた。
よくわからない四足歩行――ネッ○ーのような絵を彼女がトントンと叩く。
「紅魔館あたりにいるんじゃないですか」
「あやや、紅魔館にはあまり入れないので調査する必要があるかも知れません」
メモに書いてある『紅魔館』という三文字をグリグリとペンで丸を描く。
「でも、伝説の生き物なら魔法の森にいる可能性が」
「あややや、木々で覆われていて、中々あそこも見落としているかも……」
『魔法の森』という字がメモに新しく書かれる。
モケーレなんとかとは何なのか。
「善は急げです。早速魔法の森からあたってみましょう」
彼女が席を立つ。
「この酷い天候の中行くんですか」
窓から外を見る→未だに酷い風と雨。
「ネタさえあれば飛んで行きます。何がどうなろうと」
と、微妙に格好のいい台詞を残し彼女は外へ飛んで行った。
そして数分後、風が止み、雨も止む。もちろん赤い雲も消える。
「……おや」
天候の急な変化→彼女と出会ってから→別れてから。
もしかしたら彼女は、ずっとあの天候の中心にいるのではないだろうか。
霧雨よりタチの悪い、風雨の中心に。
「……何か掴めて来た気がする」
勘定を済ませ、外へ出て周囲の景色を見る。
山の方に、以前にはなかったと思われる赤い雲の集まりが見える。
「あれは何だろう」
赤い雲は見覚えがないので何だかわからない。
ただ一つ分かる事は、とても嫌な感じがするという事だけ。
「うーむ……」
とりあえず背伸び→深呼吸→吐き出す。
「ま、いいや」
そしていつも通りの思考放棄。
「何とかなーる、何とかなーる」
人任せ。
「容疑者発見」
後ろから突然声がする→振り返ると見慣れたメイド服→十六夜 咲夜。
「えーと」
容疑者?
「私怨はありませんが――……
 いえ、私怨はありすぎて困りますが、ちょっと来てもらいましょう」
いや私怨はあるってどういう事だろうか。
おおよそ予想はついているが。
「とりあえず詳しく説めゲブッ」
みぞおちに鈍い痛み――視界が暗転する。

-18-

目を覚まして、周囲を見る。
災難続きで自分がどこにいるのかも把握できなくなってきた。
本棚、本、本棚、本、見慣れない数人のメイドが本を片付けている。
恐らく図書館だろう。こんな広い空間は初めてだが。
「あー、君がなんとかかんとか君かね」
横から聞き覚えのある声がする。なんとかかんとか君とは既に原型がない。
「某田正二です」
反射的に名乗ってしまった。
質問をしてきた彼女――レミリア・スカーレット。
以前に何回か話したりした事がある。
恐らくここは紅魔館だろうと認識する。
お得意様に容疑者とされるとは、信頼が成り立っていないなあと思う。
「コホン、それで君は何で雨を降らせたりするのかね」
「は?」
話の流れがつかめない。
「やっぱり君は雨男なのかね」
「え?え?」
まさかあの黒白が噂を広めたのだろうか。
「とぼけない方がいい、正直に話した方が身の為だよ」
「いや、話の流れがわからないんですが」
するとレミリアは口を尖らせて言う。
「ああもうじれったい!私と勝負しなさい!
 私が勝ったら正直に言う事。私が負けたら無実でいいわ」
えらく短絡的である。
「いや、ちょっとまっ」
「これも運命だから仕方ないのよ!」
そしてえらく適当に運命づけられている。
「スペルカードは何枚までにしますか?」
レミリアの横にいきなり現れる咲夜。
「三枚分でいいわ、そっちは?」
レミリアがこちらに尋ねて来る→咲夜がレミリアに耳打ちをする。
「え、何咲夜。舐めプレイ……って?」
嫌な予感は良く当たる。
「スペルカードはいらないのね、いい度胸をしてるわ」
もとより持ってないので何とも言えない。
というかこれは……間違いなく状況が悪化している。
そうしていると、また咲夜がレミリアの耳もとで囁く。
「……え?あ、うん、わかった」
「それでは開始ー」
ヤル気の無い咲夜の声でスペルカード戦とやらが勝手に始められる。
その合図と同時にレミリアがとことことこちらへ歩いてくる。
「え、ちょ、何が?」
「ぎゃおー
 たーべーちゃーうーぞー」
両手を挙げながら→怪獣のポーズのつもり。
完全に遊ばれている。
最早スペルカード戦ではなく、追いかけっこだ。
「う、うわー
 くるなああああああ」
自分も、何やってるんだろう。

……副社長退行中……

三分後。
延々と逃げる→追いかけるの繰り返し。
「ぎゃおー」
駆け足で逃げる。
「うわあああ」
駆け足で追いかけてくる。
「にーんげーんくーわせーろ」
レミリアと自分が、ぐるぐると走るだけ。
「……全然平和ですね」
咲夜が腕を組みながらつまらなさそうに言う。
「ですね」
レミリアから逃げようと歩きつつ。
「うーん、逃げてばっかりじゃつまらないわね
 ガンを飛ばすって何か間違ってたかしら」
三分間挙げ続けてた手を下ろす。
全てが間違ってる気がする。
「そろそろ終わってくださいよ」
レミリアは頷く。
「そうね、ぱっぱと終わらせちゃいましょう」
先ほどまで歩いていたレミリアが地面を蹴る→比べ物にならない速度でこちらに詰め寄る。
そして目の前で止まる。
「お?」
カードを取り出して……ってこの至近距離で?
「紅符『不夜城レッド』」
後ろに緊急回避→間に合わず。
目の前が真っ赤に染まる。
「ぬわーーーーっ!」
最近、ダメージをもらうパターンが多い気がする。
攻撃が止み、どさっと落下。
「……こんなのが雨を降らせられるわけないじゃない!
 さくやー!つぎー!」
今更な事を言われ、完全に放置された。
レミリア→こちらを見向きすらせず歩いていく。
咲夜→既に視界の範囲内にいなかった。
結局何だったんだろうか。
ここでは雨が降っているのだろうか、室内なので分からない。
体を起こして出口を探す、が。
「騒がしいわね」
ギシッと木の軋む音。
音の先には――一人の少女が木製の椅子に座っていた。
だぶっとして、紫がかった服装。幻想郷特有のセンスの帽子。
色白で、紫髪。やや眠そうな目つき。
本をぱらぱらとめくっている。
目が合う。無関心にも見える表情から一言が漏れる。
「……珍しいわね」
……何がだろう。彼女がこちらを指差して。
「混ざってる」
混合物らしい。
「何がですか」
「そう、あなたは気づいてないのね」
やれやれ、といった風な口調で呟かれる。
表情の変化は無い。
そうして彼女はまた本へ視線を落とす。
何か色々と考えながら彼女を見ていると、視線がふと上がる。
「ずっと見られると、集中できない」
当たり前の事を言われる。
「といっても先ほどのが気になりまして」
「そのまんまの意味」
……もしかするとよくある電波さんなのだろうか。
「今失礼な事考えてたわね」
顔に出ていたらしい。
「あ、済みません」
「決してそういうのじゃないわ」
……こちらが聞いても話すつもりはあまりないらしい。
「詳しく説明してもらえませんか」
彼女が面倒くさそうに本を閉じる。
「じゃ質問」
人差し指を立てる。
「まずあんた誰」
ごもっともだ。

-19-

懐から取り出して、名刺を手渡す。
「こういう者です」
じろーっと見つめられて。
「……そう」
たった一言だった。
「あなたの名前は」
「パチュリー・ノーレッジ
 パチュリーでいいわ」
よく聞かないと聞き取りづらい声で喋る。
彼女はそのまま中指を立てて。
「じゃあ二つ目。
 あなたには私の気質が見える?」
「気質……?」
性格より本能的なそれの事だろうか。
「いえ」
「三つ目」
薬指を立てる。
「よく目を凝らして私を見てみると、何か見える?」
よく目を凝らしてみる。
特にこれといった能力はないのだが。
……やはり何も見えない。
「特に何も」
小指を立てて。
「四つ目。
 じゃあレミィをよーく見て」
図書館で相変わらず大暴れしているレミリアに視線を移す。
現在のレミリア→見覚えのある銀髪と刀の少女と会話中→魂魄 妖夢。
……ん?
レミリアから何か赤い霧のようなもの――これは彼女の弾幕のせいだろうか。
「赤みがかかった何かなら見える気がします」
「あれが気質」
なるほど、気質はわかった。
が、何故外に漏れているのだろうか。
「それで、混ざってるというのは」
「あなたから出ているのは一種類だけじゃなくて、複数出てるってこと。
 レミィに似たのと咲夜のに似たのと、その他数種類のね」
「はあ」
よくわからないがそういう事なのだろう。
「もうちょっと考えさせて」
彼女は立てていた指を折り、目を閉じる。

……少女思考中……
---
\story
れみぃvs妖夢の小ネタ?
はい、次の方どうぞー!
え?咲夜にパーティがあるって、無理矢理連れてこられたんだけど……
甘い言葉に気を付けよう
無理矢理連れてこられたの
あー、私語は慎みたまえ。君は以前天候を弄った事があったよね?
天候?いやあれは幽々子様が……
じゃあ決まりだね。今回のもお前が犯人だ!
\end story
何を言っても聞かなさそうですね……
ルールはいつも通りでいくわよー
はいはい
というわけで勝負!よーい、うー!
……ヤル気ないわね ならこっちから手を出してその気にさせるまで!
私のこの手が真っ赤に燃えるッ
お前を倒せと轟き――
ゲーンゲーツザーン
あばっ ちょ、ちょっと!今いいところだったじゃない!
隙を見せる方が悪いんです
なんかちょっとムカついてきた
勝負は冷静さを欠いた方が負けです
むきー!夜符「バッドレディスクランブr
エイゴウザーン
あひん
宣言すらさせないなんて卑怯よ!
いえ、このように剣使ってますし
そういう問題じゃないのよ!
というわけでさっさと終わらせちゃいましょう
エングリッシュゲンセイザーン
二度も同じような手には引っかからないわ!
紅魔「スカーレットデビル」
わーっ!
まけましたーこうさんでーす
……しっくりこないわね
こんな事して何の得があるの?
こんな事って……?
天気をおかしな事にしたでしょ?
天気……?あーもしかしてお屋敷で雪が降っている事ですか?
え?雪?
あれはもしかして幽々子様の仕業なんですかね
え?え?何の話?
その調査をしているのでしたら、協力します
あ、うん。よろしく頼むよ
---
数分経って、目を開く。
「……5つ目、あなたは何かの能力を持っている?」
「一応」
「詳しく説明してもらえないかしら」
パチュリーがやや積極的に質問をしてくる。

……副社長説明中……

「一緒にいるだけで普通の人間よりも妖気を吸収するらしいです。
 妖怪化したのもそのせいです」
今までの経緯のほとんどを話した気がする。
「恐らくだけど、分かったわ」
相変わらず眠そうな目つきで話される。
「妖気だけじゃなくて、気質もわずかに吸ってるから混じってるのね」
どうやら気を操る程度の能力は妖気ではなく気質も吸っていたらしい。
確かに『気』と言う漢字は入っているので納得はいく。
「なるほど」
「本来のあなたの気質がわからないのが興味深いわ」
眠そうだった目にやや光が→彼女なりの好奇心。
「それは、自分にもわからないので」
「ちょっと動いてみない?
 埋もれた気質を見てみたいわ」
パチュリーがどこからかカードを取り出す→スペルカード。
簡便してほしいものだ。
「いえ、攻撃能力が皆無なので」
彼女は肩を落とす。が、転んでもただでは起きず。
「回避能力と防御能力くらいはあるって事かしら」
鋭い指摘である。
回避能力→間違いなくスキマだろう。
防御能力→紫の結界→以前の『おまじない』。
「まあそんなところです」
彼女は頬杖をつきながらぶつぶつと呟く。
「気質の吸収が微弱なのは自己の性格を崩壊させないため?
 本人の内面的な性格が表に出る……それとももとより力が無いから?
 本来の気質が見えないのは能力のせい?
 いや……」
完全に考察にふけっている。
すると。
「紅茶をお持ちしました」
タイミングを見計らったかのように出てくるメイド→咲夜。
しかし紅茶のカップは一つだけ。
「パチュリー様どうぞ」
「どうも」
こちらを向き、晴れやかな笑顔で咲夜が言う。
「二番煎じはしばらくお待ち下さい」
相変わらず喧嘩大スキー。
初対面で喧嘩を売ったのは自分だが。
「それはどうも、セルフサービスかと思ってました」
負けじと対抗する。
「あら、私は別にそれでも構いませんが」
最初が最初なので劣勢だ。
「ではわざわざ自分の為に出してくれる方を選びますね。
 二番煎じでも構わないので」
相手にも屈辱感を与える選択肢を選ぶ。
ただではやられてたまるものか。
すると咲夜は呆れたような、わざとらしい溜め息をつく。
「相変わらずね」
「そちらこそ」
「いえいえそれほどでも」
喧嘩というより双方がもう慣れてしまっている。
そして二番煎じの紅茶の入ったカップを渡される。
「大体ざまあみろって感じでしたわ」
やや残念そうに言う→レミリアにボコボコにされた事。
「致命傷じゃないのが残念でしたね」
「全くね」
さらっと言うあたりが段々冗談に聞こえてくるようになった。
「……さくやー!つぎはやくー!」
遠くからレミリアの声がする。
「じゃあ、また行ってくるわ」
また無差別に、人間妖怪その他を拉致しに行ってくるのだろう。
「何でこんな事になってるんですか」
「天気が不安定なのは誰かのせい――とかお嬢様が言っててね」
また天気の話か。
「せいぜい頑張ってください」
「早くくたばる程度にあなたもね」
ある意味では似たもの同士な気がする、などと変な事を考えていると。
フッと、咲夜が消えた。

-20-

……そして紅茶をゆっくり飲み終えて背伸び。
そろそろ戻ろうかな――とか思いながら。
「……ぶつぶつ」
まだいたんですかパチュリーさん。
「あのー」
ぶつぶつ。
聞こえていないのだろうか。
「そろそろ戻りますね」
「そう」
聞こえていたらしい。
「もしかしたら、『それ』はいい武器になるかもしれないわ」
それ――こちらを指差して。
気質が混じっている事がだろうか。
「一体どういう事ですか」
「それはそのうち分かると思うわ」
もったいぶられた。
「それじゃ私は調べ物に戻るわ」
「あ、はい」
パチュリーは無数にある本棚のうちの一つに向かって行く。
何を調べているのかな――聞いても恐らくわからない事だろうのでやめておこう。
……帰るか。

「ふう」
パチュリーは本棚から本を取り出して読み始める。
「……まだ飽きないのかしら」
レミリアの方を見る。
現在→なんだか見覚えのある大鎌→小野塚 小町と交戦中。
---
死符「死者選別の鎌」ッ!
ゲェッ、ラオウ!
死ねィ!
わあああああああああああ
---
いつも以上に賑やか→森閑とした図書館を好むパチュリーにとっては非常に迷惑。
「騒ぐのは宴会くらいにして欲しいわ」
おちおち調べものもできやしないと呟く。
その間にもぱらぱらとめくられるページ達→殆ど読めていない。
気になっていることは、さっきの妖怪――副社長のこと。
「結局あれはどうなるのかしら」
気を操る程度の能力とは、気質も自在に操れるかどうなのか。
「この異変で化けられればいいわね」
強くなれ、という訳ではなく→あくまで興味。
その時――飛んできた弾幕の一つが目の前の本棚にぶつかり、弾ける。
「なっ」
バランスを失った本棚→倒れ始める→バラバラと崩れ落ちる本。
椅子に座ったまま→逃げる時間すらなく→押しつぶされるパチュリー。
「むきゅ」
そうして呟きは消え、賑やかさのみが残るのであった。

-21-

図書館から帰って夕食前。
「んー……?」
机の前にあぐらをかいて。
机の上には一枚の紙→最近の出来事のまとめを記入。

まず、ここ紫邸で天気雨が最近妙に多いこと。
白玉楼、夏であるのに雪が積もっていること。
次に霧雨魔法店、霧雨がずっと止まないこと。
その次には新聞屋、彼女が来たら風雨になり、いなくなれば止んだこと。
そして紅魔館、容疑者探しをしていること、気質が出てること。
山で目撃した赤い雲と、レミリアから出ていたもやのようなもの→恐らく同一の気質。
関連づける理由→天候がヘンになった時、上空に赤い雲がかかる。

結論として。
恐らくあの山に何かある。
これが異変なのかどうなのかはわからないのだが。
毎日時間はあるし行ってみようかな――と考え付いた瞬間に、戸を叩かれる。
「はいはい」
「夕食だヨ!全員集合~…………だそうです」
戸越しにもわかるくらい恥ずかしがりながら藍が言う。
どういうネタのチョイスをしているのだろうか。
「わかりましたー」
ある程度片付けを済ませ、居間に向かうのだった。

というわけで、夕食になりました。
「「「いただきます」」」
油揚げが多い、紫が口にものを入れながら喋る、藍が注意する――何の変哲も無い夕食だ。
「最近はほら、あいつが片足を賽銭箱に――」
「それで、蒸発しそうになったんですよね」
「あら、知ってるの」
「現場にいましたから」
現実では考えられない事を淡々と話し続けている紫と藍。
もう大分慣れた。さすが幻想郷である。
「……そういえば、橙がいませんね」
「……外来人と一緒だと思います……」
藍の握る箸に力が加わる。
「でも別に、その外来人を、恨んだりしてませんから、全然、別に」
綺麗すぎる笑顔→逆に怖い。
「一日でもとられるのが嫌だものね、過保護よ~過保護ね~」
ペキッと、箸が折れる。ゆっくりと藍が顔を上げて言う。
「別にそんなことありませんが?」
「やーん藍が反抗期なの、副社長さん助けてー」
紫がこちらに少しづつ寄って来る。
「こういう時だけ副社長と呼ぶのはどうかと、ごちそうさま」
冗談でしか呼ばれた覚えがない。
「お粗末様でした」
「信頼ないわね、全く
 ちょっとくらい信頼してくれてもいいのよ?」
ケチねえ、とでも言いたそうな表情。
「全力で遠慮しておきます。
 何をしているかわかりませんし」
「じゃあ明日一日休暇あげるから、ね」
一瞬、紫の目が真面目になった気がした。
意識して見てみると、いつも通りのからかうような目になっている。
気のせいだろうか。
「いやはや、権力の乱用とは怖いものですね」
「そうですね」
「何を言ってもマイナスにしかとられない……
 カリスマがありあまるのも困るわね」
紫のその前向きな思考も困りものだと思うのだが。
「あ、でも休みだけは前向きに受け取ってあげます」
それを聞いた紫はきょとんとして、
「別になくてもいいのよ?」
「すいませんでした下さい」
別に大して忙しくはないのだが、やはりたまには完全な休みも欲しい。
「わかればいいのよ」
「正二さん……」
紫は満足した表情を浮かべる→上から目線。
藍は冷たくものを見る目→弱っ、とか思ってそう。
「それでね、一つ」
紫が人差し指を自分の目の前に立てる。
「はい」
「絶対、マジで、本気で、山のぼりしようとか思ったら駄目だから。
 行っちゃ駄目なのよ?ほんとよ?
 別に何かあるわけじゃないからね?ただほらちょっと色々あるから。
 天狗がうるさくなったりしてケガしちゃうから」
……いわゆるこれは『前フリ』なるものなのだろう。
押すな押すな絶対だぞ!絶対だからな!?みたいな。
『山のことに気づいたなら行ってみなさい』、という事だろう。
「わ、私は別に明日ちょっと用事があるから見にいけないとか、
 そういう事じゃないからね?わかってるわね?」
恐らく、『私は干渉できないから注意しなさい』という意味。
「わかりました。
 明日は紫様がいないので絶対に行ってはいけないんですね」
「そうね」
紫はニヤリと笑みを浮かべる→これで確信した。
「と、いうわけでごちそうさま」
気づけば紫の食器の上には食べ物が無くなっている。
「お粗末様でした、それでは片付けておきますね」
「よろしく。
 ……じゃあ私は用事があるから」
そう言って、紫はまた地面――スキマに埋もれていった。
「無茶だけしなければ多分大丈夫です」
彼女もまた前フリであると気づいていたようだ。
「何もできる気はしませんがね」
「自分で見た方が早い、っていう意味です」
その解釈はなかった。
「なるほど」
「それでは。
 あ、お風呂なら沸かしてあります」
「了解です」
藍は食器を洗いに台所へ歩いていく。
さて、風呂に入って早めに寝るとしようか。

-22-

風呂場にて考え事。
休暇だそうです。
明日は山登りです。
「服装とか大丈夫なのかなあれ」
薄い着物一枚が脱ぎ捨ててある。
「なんとかなるか」
勝手に納得。
「しかし」
幻想郷の山というものには行ったことが無かった。
山の頂上に神社があるらしいとか、
実は外の世界に繋げる実験をやってるとか、噂は絶えない。
人里を人間の住処とするならば、山は妖怪の住処らしい。
今まではあまり凶暴ではない妖怪にしか出会ってなかった気がしなくもない。
むしろ凶暴な人間に会う確率の方が高い。多分そうだ。多分。
妖怪の何たるかを教えてもらうとしよう、人道的範囲内で。
「うおおおおおおおおお」
ドドドドと地鳴りがする。……家の中から。
「待って下さいよー冷静に話し合いましょう?」
至って落ち着いた藍の声。
「むしろそっちが落ち着いてくれ!」
慌てた男の声。
「別に橙を連れて行ってたとかは気にしてないんです、全く」
ああ、そのことで根に持ってるのか。
「君がッ、その弾幕を止めるまでッ、俺は走るのをげボぁ」 (ピチューン)
恐らく被弾したのだろう。地鳴りが止んだ。
「平和ボケね」
真上から紫の声。相変わらず体の半分はスキマに入っている。
「どこからでも沸いて出てきますね」
「人をチルノとかリグルみたいに呼ばないで頂戴」
ポンと沸いて出てくるのは、紫以外に出会った覚えはない。
「それでここ風呂場なんですが」
無論湯船→タオル一枚。
「ちょっと聞いておきたい事があって」
気まずい空気を一刀両断、八雲紫。
「……何ですか」
「――あなたは、弾幕ごっこをしたいと思う?」
弾幕ごっこ――あれか。
「それはどういう意味で」
「どういう意味でも。弾幕に対する好奇心。
 力が欲しい。対等に勝負したい。とかそのあたりよ」
現在は防御→逃避→防御→以降無限ループの状態だ。
それくらいは何とかしたいと思わなくもない。
「どちらかというと最低限の牽制能力くらいは欲しいとは思います」
どちらかというと運動は苦手である。
スポーツもやるよりは見るだけにしておきたいタイプだ。
「そう」
そっけない返事をされる。意図が読めない。
「何でいきなりそんな事を?」
「気まぐれ」
気まぐれすぎだろう。
風呂場にやって来てまで聞く事ではない。
「はぁ」
「というわけで用事」
「あ、はい」
と、返事をし終える時にはスキマすら残っていなかった。
用事とは……?
最近何をしているのか、気にならなくもない。

よし、明日は山登りだ。

-23-

翌朝。
神社から歩き始めて、ニ時間かかるかかからないかという地点→山の麓。
体調→良。
天候→始めは晴れ→つく頃にはやや強めの風と少量の雨。
『山の天気は変わりやすい』という、いつ教えられたか覚えていない事を思い出す。
そして目の前に立てられている看板には、
『いつまで経っても入山禁止』の文字が強調されている。
自己解釈→「あっちいけ」。
だがここまで来て帰るのもどうかと思うので。
上空を見上げれば、この前よりも嫌な感じのする赤い雲。
恐らく、紫はあれを見て来いと言ったのだろう。
一歩目を踏み出そう、と、して。
「そこの看板が読めない、あるいは読んでも無視してるそちらのファンキーなお兄さん」
視界の端で、木の枝の上にいる誰かに声をかけられる。
全く気がつかなかった。
「いつまで経っても、という事は永遠にという意味を遠まわし――ってあなたは」
「おや」
カメラ、手帳、と言えばわかるであろうその姿→鴉天狗。
珍しいものを見た――そんな目をしている。
「伝説の生き物はいましたか?」
彼女は以前モケーレムベンベとやらを探していたはず。
「魔法の森は湿気が多くて半端な調査になってしまいました。
 なので今日は紅魔館あたりに行きたいのですが」
その逆説の意味は何なのだろう。
「テリトリーに入ってくる変なのが多いので、
 外出はあんまり良い目で見られないのです」
変なのときた。
「変なのとは」
もちろん自分の事も含んでいるんだろうなーという感想を心に秘めて言う。
「幽霊だとか鬼だとか人間だとかそのほかもろもろです」
さすが幻想郷である。
「他に理由として言うなら、休憩中です」
「この天気ですしね」
「最近はこんな天気ばっかりです」
こんな天気ばかり――これが彼女の気質なのだろう。
「それで――」
彼女が目の前に降りてくる。
「入山するには、それなりの実力が無いと駄目ですよ?
 この私をどかす程度の」
気づけば彼女の手には紅葉を模ったような扇と、スペルカードがある。
ようするに、ここを通りたいなら私を倒して見せろということか。
……だが、山に興味があるわけでもなく。
「いや、ちょっと待って下さい」
「この後に及んでストップですか?ですね?
 実はおっかなかったりしますか?」
図星と言えば図星である。
「山に入りたいというより――
 あの雲に興味があるんです」
山の上にかかっている赤い雲を指差して言う。
その指の先を追うように、彼女も雲を見る。
「ああ、あれですか」
至って普通の雲ですよ、なんてセリフが出てきそうな感じである。
「うーん、見るくらいならどうでもいいんだけど……」
「だけど?」
「私が何もせずにそのまま通すのもアレなので」
彼女が手に持ったスペルカードを掲げる。
「ここはおとなしく、やられておいて下さい」
突然である。
「え?ちょっと突然すぎませんそれ」
問いしてみても、
「幻想郷なりの挨拶です、一枚で決着つけましょう」
さすが幻想郷、などとは段々思いたくなくなってきた。
彼女が何を考えているのかわからない。
風になびく髪と、若干の雨→なんだかすごい緊迫感。
これって、すごいまずいのかも知れない――

「いざとなったら、使いなさい」

思い出すのは紫の台詞。
「ならば、こちらもそのつもりで」
彼女から渡された、四枚のうちの一枚を取り出す。
「あれ?スペルカードを持ってたいんですか?
 おかしいなぁ、手帳にそんなメモはなかったような……」
彼女は鞄の中の手帳を確認し始める。
「無ければ無いで、耐久したら勝ちとかその程度にしておこうと思ったんですが……
 そっちもその気なら、先に倒れるなり吹き飛ぶした方が負けってことで」
選択肢を間違ったのかもしれない。
……というか、どちらにせよ彼女はこちらに攻撃をしてくるので、どちらも同じだ。
「いいでしょう」
だが、もう引き返せない。
彼女との距離は3メートル程度。
「それでは」
彼女がカードを高々と掲げる。
「竜巻『天孫降臨の道しるべ』」
そういえば。
支給品の名称など知るわけなどなく。
鴉天狗さんも、こちらの出方を待っているので。
やるしかないのか。
ごく。
適当に。
「支給品『八雲紫の贈り物』」
カードを掲げて高々と叫ぶ。
すると――
風の流れが、自分を中心に流れてくる。
視認できるほどの量の赤い霧が――そのスペルカードに集う。
彼女も何が来るのかと身構えているが。
……その風の流れが止まれば、何も起こらず。
「「……」」
沈黙だけが残ったのだった。
「あ、え、えっと」
彼女はしどろもどろになりながら口を開く。
「それだけ……ですか?」
それだけなのだろうか。
それだけなのか。何か。何かないのか。
無いな。あるわけないよな。何だこれ――と、思っていた矢先に。
風雨だったはずなのに、雲が無くなり陽射しが。
「え?あ、あれ?」
彼女も驚きを隠せないようだ。
「これだけです、多分」
恐らくこれで全部なのだろう。
人格である気質を吸い込む。
そうする事によって天候を変化させる。それだけだ。
変化、といっても何の変哲も無い天候にするのが限度だろう。
そうして考察しているうちに、彼女もふと何かに気づいたようだ。
「天気が元に戻ったって事は、あれは天気を操れるわけで、
 天気を操れるって事は、最近の不自然な天気にも理由がつけられるわけで、
 不自然な天候に気づいても、その正体には気づかなかったわけで、
 その正体をわざわざバラすためにここに来た?
 あややや、なんだか小馬鹿にされてる気がします」
なんか不穏な事を呟いている気がしてならないのだが。
「ようするに、この天気の異変は、あなたのせいだったのですね――!」
結論が端的である。
こちらの行動が浅はかだったのだろうか。
「いつまでも気づかない私を嘲笑おうと来たわけですね?
 いいでしょう、受けて立ちましょう!」
スイッチを入れてしまったわけだが。
どうする。
本気で挑んだところでどうしようもない。
かといって、いつものように都合良く紫が出てくるわけでもない。
手詰まった。
「動かないんですか?」
立ち止まっていた自分は、彼女から見て隙だらけだったようだ。
いつの間にか目の前に彼女がいて、
「吹き飛べ」
彼女のその言葉を聴き終わる事なく――自分は暴風の一部になった。

副社長を吹き飛ばしてからすぐ。
「……あれ?」
また天気が変わる→彼女にとっては元に戻る→風雨。
「まーたこの天気ですか。
 あややや、結局どういう事なの?」
一人でまた考察を始める彼女だった。

-24-

ああ。
飛んでる。
吹き飛んでる。
視界が回ってる。
今自分は多分、ブーメランみたく回ってる。
髪やら服やらが体に密着したり離れたりを繰り返す。
平衡感覚がない。
今どれくらいの高さなんだろう。
下を見るのが怖い。
というかどっちが下かわからない。
死ぬんじゃないか、これ。
なんて、冷静に考えていられるくらいに自分はおかしくなっていたのだろうか。
最近、攻撃される機会が一気に増えた。
さっきのは自業自得だと思うんだけど。
あ、視界が赤くなった。
あの雲に飛び込んだのか。
……まずい、気持ち悪い。
何か流れてくる。
吐き気がする。
こっちを見てひそひそ話をしている雑踏の中一人で歩いてる感じ。
気質がここまで有害とは思わなかった。
悪質な風邪を引いたようで。

ガスッ

そして痛い。
恐らく山の側面にぶつかったのだろう。
勢いは大分相殺されたと言えど痛い。
そのまま、落下し――ない。
程よく足場というか、地面がある。
頭がグラグラする。
立つのも正直気だるい。
とりあえず――この気質の集まりを何とかしなければ――そうだ。
さっきも使ったあれをもう一枚使えば。
例のあれを上へ持ち上げる。
すると、それは自動的に周囲の気質を吸い始める。

……

ほんの少し、というかかなり楽になった。
ぽかんと、周囲の空間から雲が無くなっている。
「……しかし」
自分の体→満身創痍。
周囲はどこを見ても、赤い霧→もとい雲→雲→雲。
「異変と言うより、ただの自然現象にしか見えない」
赤い、という点だけが怪しいが、そんなもの日光の関係でどうとでもなる。
と。
いきなり稲妻が何度も繰り返す。
やっぱり普通の自然現象なのだろうか。
眩しい→その中に人影。
「またまた不思議な」
ふわふわとした衣装を纏った誰かが稲妻の中から出てくる。
「ここだけ緋色の雲が欠如している……?
 何か奇妙な臭いがするね……おや」
空中に浮かんでいる彼女と目が合った。
「珍しい、今度は人間……いや妖怪?」
判断しかねているようだ。
「妖怪で合ってます、元人間です」
反応を示したのが意外だったのか。
「そうですか。
 それはそうとして、何故ここまで?」
なにゆえときた。
「何故も何も、吹き飛ばされてここまで来ました」
「吹き……え?」
理解に苦しんでいるようだ。
「ちょっと鴉天狗と一悶着ありまして」
一方的にやられただけなのだが。
「それで、吹き飛んだと」
「そんなところです」
何かを言いたげに口を開けて、考え込むように目を瞑る。
「えーっと、じゃあここから上に行きたいなどとは言わないという事ですよね?」
上?
「上……ですか」
「おっと、口が滑りました。どうも先ほどのせいで饒舌になっている気がします」
さ、先ほど?疑問ばかりが募る。
「質問なのですが、上に何があるのでしょうか」
うむむ、また面倒な事になってきた――と独り言される。
「ここから上は天界。
 普通の人間――まして下等な妖怪などが行ける場所ではありません」
む。これは差別ではないのか。
しかし天界と言うものがあるのか。初めて知った。
むしろ天界だからこそ普通の人間が行ってはいけないのか。
あと。
「もう一つ」
「あの、なるべく簡潔にしてもらえると嬉しいのですが」
やや迷惑そうにそう言われると、何か申し訳ない気分になる。
「この赤い雲は何でしょうか……あとあなたの名前は?」
そういえば聞き忘れていた事を聞いておこう。
すると彼女は着地して言う。
「私の名前は永江 衣玖。
 私――いえ、私達龍宮の使いは、ある異変を伝えるためだけに空を泳いでいます」
私達という事は、竜宮の使いは複数いるのだろう。
そして、異変……とはやはり天気の事に関連があるのだろうか。
「異変とは」
「緋色の雲は大地を揺るがす。
 あなたの周囲に見えるこの雲は、いつか大きな地震を起こします」
大地?天気とは全く逆の事で思考が追いつかない。
「いつか?」
「恐らく、数日以内には」
急だなあ……と、考えている猶予はないわけで。
「地震を防ぐ事は?」
何もできませんよという意味でなのか、彼女は両手を頭の横で振る。
「出来る事と言えば、せいぜい防災の準備をする程度で……いや」
頬杖をついて何かを考え始める衣玖。
片手を肘につけて、若干足を開いて、上を指差す。 ←キュピン
「上」
そのポーズの意味がよくわからないが、上に何かあるのだろうか。
「って、私は何をやっているんでしょうか」
こっちが聞きたい。
「確証はまだありませんが、天界にいるお方が地震を鎮められるかも知れません」
自分が行って何ができるかなどはわからないが、行ってみる価値はありそうだ。
上を見る。
「――戻るつもりは?」
わかってて言っているのだろうか。
「ないですね」
「そうですか。
 くれぐれもお気をつけて。
 天界は妖怪を生物として扱わないかも知れません」
天界のイメージがやや崩れた。そんな物騒なのか。
彼女はまた浮き上がる。
「先程の来客のせいで何だか面倒になりました。
 私は空気を読んで、傍観していた方がいいのかも知れませんね」
彼女が来た方向へ戻っていく。
来客――やはり、誰か来たのだ。それもごく最近。
「自分を、そのままにしていていいんですか?」
「私は何も見なかった。
 ……独り言ですが、あのお方には、戯れも程々にと伝えておかないと」
そうして、彼女は雲の中に消えた。
あのお方……どんな人物なのやら。

「上……か」
歩いて昇って行けるのかは知らないが、雲を抜ければ何とかなりそうだ。
スペルカード→紫の支給品を手に持ったまま、歩き始める事にした。

-25-

なんだか足場があやふやになってたりして。
境界を有効利用して、雲を抜けた。
そうして開けた視界には。

「――」
息を呑んだ。
何というか、殺伐としている。
遠くに何か果実のある木が見えたり、
他の山の先端が雲から飛び出て見えたりする。
逆に言えば、それだけ。
あとは空が広がっていて、雲の海が足元に広がっているだけ。

見回しても、これといったものがあるわけではなく。
「本日も快晴なり……」
雲の上に天気も何もあったものではないが。
それで、上に何があると言――
視界が暗くなる。
影が落ちる。落ちる。自分の真上に。
それは大きくなり、更に大きくなり――
「ってでかっ!」
飛びのいた瞬間には巨大な岩が降ってくる。
そして、かつて地震大陸日本にいた時ですら感じ得なかった強力な衝撃。
「――」
あのままいたら潰されていただろう。
注連縄を巻かれた巨大な岩、その上に、少女。
桃の乗った黒帽子、七色の飾りのついたワンピース、青い髪に赤い瞳。
「なんだ、避けたの」
第一印象は一言で表すと、外道。
「そのままぶつかってよろよろ逃げ出せばよかったのに」
ノーウェルカムの意味だろう。
「ピクニックになら、下までにしておきなさい」
旅行に思われてるらしい。
「……貴方は」
「まあここまで来たんだし名乗っておいてあげるわ。
 私は非想非非想天の娘。比那名居 天子よ」
ひそうひひそうてんのむすめひなないてんし……?
てんしって漢字は天使じゃあないだろうし天子?
ええい、わかりづらい。
ここは。
わかりやすく。
「てんこちゃ」
「潰れろ圧力で」
さっきの石ほど大きくはないが、潰すには十分すぎる岩が天子の頭上に現れる。
今回もまた、スイッチどころか核踏みました。

……

「逃げ足だけは早いのね」
砕けた岩まみれになった周囲を見て天子はつぶやく。
「それだけが取り柄ですし」
大分、かなり、というか満身創痍。
「つい熱くなってそのまんま倒しかけたけど、あなたは何しに来たの?」
何しに来たのか。
休暇だからピクニックに?
赤い雲や、天候の異常について調べに?
『私は何も見なかった。
 ……独り言ですが、あのお方には、戯れも程々にと伝えておかないと』
あの方とはこの人なのだろうか。
だが、娘という事は父親が黒幕?
ここは正直に言ってみるか、どうか。
端的に。どこまで知っているか掴まれないように。
「気質の異変を解決しに」
すると、彼女は。
「異変だと気づいて上まで来たの?地震が起こる事に?
 天候の異変はそのついでの副産物である事に?
 これから私が何を考えているかに?」
そうか、天気の異変は――『ついで』だったのだ。
阿求が言っていた。
『そういえば正二さん、地震については経験がありますか?』 あきゅう
彼女は何が起こりうる事なのか知っていたのだ。
『緋色の雲は大地を揺るがす。
 あなたの周囲に見えるこの雲は、いつか大きな地震を起こします』 いく
やっと繋がった気がした。
そして、彼女が黒幕であることに。
「確認したのはちょうど今さっきですが、一応は」
「ふーん、中々頭はよさそうな妖怪じゃないの。
 戦闘能力もないことはなさそうだし」
彼女も(少しは)見直してくれたらしい。
「どうする?ここで私を止めないと、
   ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
   幻 想 郷 は 壊 滅 す る わ よ    」

ぶっとんだ話が来たものだ。
レベル3くらいの駆け出し勇者の状態で魔王の城に突っ込むのと同義。
倒すことは、恐らく不可能。
止めることは、恐らく不可能。
時間稼ぎになることなら、恐らく……?
稼いだところで何が出てくるのか。
まず、幻想郷の人々は気づいているのか。
紫は気づいてる節はあったが。
「ここまで来てやらないと言うの?なら私は好き勝手にさせてもらうわね。
 私はこのやりとりに憧れていた。私も第一人者になってみたかった。
 弱いのなら、勝てる自信がないのであれば早く去ればいいだけの話」
明らかに挑発されている。
だが、喧嘩を買える程の実力は……
「異変解決の専門家でも呼んでくれば?複数でかかってきても私は別に構わない」
高飛車な考えをズラズラと。
すごい出鼻をくじいてみたい。こういうの。
「さあ気質が荒くなってきた。貴方がそれだけヤル気にならないのであれば、させてあげるまで」
まぁ別に?幻想郷守るし?傷一本つけさせませんし?   ←死亡フラグです本当にありがとうございました
「勝ち負けなんて単純に。こちらかそちらが倒れるか降参するまで。
 弱きも良し!強きなら挫くのみ!
 さあ、貴方本来の気質を見せてみるがいい!!」
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